お子さま行進曲



ふんふんと上機嫌でエースは甲板を歩いていた。
特に何があったわけでもないけれど、気分が良い。
そんな時、ふと手すりにもたれて海を見ているを発見した。
むくむくとイタズラ心が膨れ、エースは忍び足でそっと近づいた。


「ひゃあん!?」


予想外だ、想定外過ぎる。
誰が、がこんなエロい声で叫ぶと思うのか。

ついっと背中を人差し指で上から下に撫でただけなのに、この反応。
どっから出た声なのか、えらく不似合いな、色っぽくて甲高い声がした。
振り向いた顔は、こころなし赤い。


「あ、なんだ、エースか」

「お、おう」


初めて見るの色っぽさにどぎまぎするエースは、自分の心臓を落ち着けることに忙しい。
日頃から活発で、どちらかといえば愛玩動物のようになつっこい。あどけない少女の無垢な可愛さが、にはあった。
それがどうした、急に、本当に唐突に、女みたいな声を出すなんて。
ついこの間まで、脇腹をくすぐっても、あひゃひゃと酔っぱらいみたいな声で笑っていたのに。背中を撫でても、うおっと野太い悲鳴をあげていたのに。

海を見ていた身をくるりと反転させ、がエースの方へ向き直った。
いつも通りの、アホっぽい間抜けな笑顔と声音だ。


「マルコかと思った」







  
2011/01/17