■生傷が絶えない短髪と生傷の元凶である先輩ラヴァー
「はじめまして、こんにちわ、魔女っ子です。 唐突ですが貴方の願いを叶えて差し上げましょう」
シャランラ。
俺と宍戸さんの秘密の特訓中、どこからともなく現れた三角の大きな黒い帽子を被って黒いマントを羽織ってセーラー服を着て杖を持った女の人。 世に言う魔女っ子衣装を纏った女の人。
宍戸さん、どうしましょう。
俺、なにがなんだかさっぱりわからないです。
そんな目で見るな、長太郎。俺だって何がなんだかわかんねーよ。
ですよね。
「あら、お2人ですか。 まぁいいでしょう、何か願い事はあります? 叶えて差し上げます」
「・・・、行くぞ、長太郎」
「え、あ・・・」
この人、放って置いていいんですか?
ちょっとだけ、可哀想ですよ。
「物分りのよさそうなチョータローさん、貴方の願いは?」
「お、俺は・・・」
「行くぞ、長太郎。 んな変な奴に付き合ってやる義理はねー」
「あら、後輩を取られたからってヤキモチですか?」
「・・・・・・・・・・・・・・・行くぞ」
「拗ねちゃって。 可愛いですねー?」
うわ、どうしよう。
宍戸さん、絶対怒ってる。
この魔女っ子さんも魔女っ子さんです、どうして宍戸さんを怒らせることを言うんだろう。
そもそも魔女っ子っていうのは本当なのかな?
だって魔女っ子っていうのはアニメやマンガの中の生き物で、現実にはありえないですよね。
でも、現に突然俺と宍戸さんの秘密の特訓中に現れたし・・・。
あぁ、もう、混乱する。
「大体テメェは何もんなんだよ!!」
「魔女っ子です。 わからないからって大声出さないでくれます? とても耳障りですので」
「うっせぇ! 魔女っ子っつーんなら証拠でも見せて見やがれ!! 出来ねーだろ!?」
「だから言ってるじゃないですか。 願い事を叶えて差し上げます、と。 まったく、人の話は聞くものですよ」
あ、宍戸さんがキレた。
魔女っ子さん、その手に持ってる杖で本当に魔法が使えるんですか?
俺も是非とも見てみたいです。
「ごちゃごちゃうっさいですね、幾ら気の長いわたくしといえど堪忍袋がぷっつんしそうです。 ファイガ」
え、それってファイナルファンタジーじゃないんですか!?
って、わー!宍戸さんが燃えてるー!!
「うぉッ!!何すんだ、テメェ!!」
「魔法を見たいって言うから使ったんじゃないですか。 あぁ、もしかして不服でしたか? では、サンダガ」
「わ、わかりました!貴方は正真正銘の魔女っ子さんなんですね!!」
「ご理解いただけて光栄です」
良かった、宍戸さんがちょっと焦げただけですんで。 (よくねぇよ!)
魔女っ子さんって凄いんですね。
っていうか、それってパクリじゃないんですか?
あー、でも魔法ってどれも似たようなものなのかなぁ。
「では、願い事をどうぞ、わたくし暇人じゃないのでさっさとお願いしますね」
(どうします、宍戸さん)
(どうって・・・、俺はぜってぇ信じねぇかんな)
(ですか。 まぁ、願い事叶えて貰えるってお徳なんですかね?)
(しらねぇよ。 お前だけ勝手に言っとけ)
(・・・・・・・・・・・・・・・・・、しゅん)
確かに、魔女っ子さんが本当の魔女っ子さんだっていうのは怪しいですけど、今実際に魔法を見たじゃないですか。
そりゃ、トリックかもしれないけど・・・。
でも、運がいいと思いますよ?
こんなこと、滅多に無い事なんですから。
「あ、俺願いごと決まりました」
「はい、なんなりと」
「もう1回宍戸さんの髪長い姿が見てみたいです」
「ラジャー、了解です。 その願い迅速かつ的確に叶えて差し上げましょう」
「って、長太郎!?」
「いいじゃないですか、減るもんじゃないんですし」
プールルンプルンファーミファーミファー 髪よ、元に戻れー
「わぁ! その姿の宍戸さん、久しぶりです!! やっぱり似合いますね」
「長太郎・・・、テメェ」
怒らないで下さいよ、いいじゃないですか、似合うんですし。
それに、この魔女っ子さんが本物だってわかりましたし!
あぁ、でも本当に懐かしいなぁ、宍戸さんのキューティクル。
さらさらだなぁ、長いなぁ、触ってみたいなぁ。 ・・・ふふ。
それにしても、魔女っ子さんの呪文、今度はドレミちゃんのオンプちゃんかー。
魔女っ子さんってオリジナルのがないのかな?
「さて、今度は貴方、願い事はなんですか?」
「俺の髪を元に戻せ」
「・・・・・・・・わかりました、先ほどの私の魔法を無駄にしたいんですね、いいでしょう」
えー!!
勿体無いです、宍戸さん!
ちょっと待ってくださいよ、せめて記念写真くらい、髪の1房なでるくらいいいじゃないですかッ!!
「魔女っ子さん、今の願い却下です!」
「ダメです」
パイパイポーポイフーワフワフー 髪よ、元に戻れー
「お前、呪文くらい統一しろよ」
「余計なお節介です、自由奔放がモットーですので」
シャランラ。
魔女っ子さんは宍戸さんの髪を短くすると、また唐突に消えてしまいました。
余計なことしやがって、なんて俺は思いません!
けど、ちょっと写真撮る間待っててくれても良いじゃないですか・・・。
「なんだか、何から何まで破天荒な人でしたね」
「あぁ、疲れた・・・」
「でも、楽しかったですね!」
「お前だけな」
「宍戸さんの髪長い姿がもう1度見れて満足です」
魔女っ子さん、もし良ければもう1度現れてください。
そのときには、名前教えてくれたら嬉しいです。
ついでに、もう1度宍戸さんの髪長い姿見せてくれたもっとら嬉しいです。
宍戸亮 鳳長太郎 2006 05 27
