■下克上でマッシュルームな君
「はじめまして、こんにちわ、魔女っ子です。 唐突ですが貴方の願いを叶えて差し上げましょう」
シャランラ。
・・・現状を説明しよう。
ここは俺の家で、道場で、俺は稽古着で、練習終わったばっかりで、幸いにも俺1人で・・・、俺1人だったらどれだけ良かったか。
「どーも、魔女っ子です。 先ほど申したとおり願いを叶えて差し上げます、願いをどうぞ」
「不法侵入か?」
「・・・・・・・・・・・正論を言われればこちらも苦しいのですが、まぁ、願いを叶えますのでチャラにしてくださいな」
不法侵入 + 不審
普段の俺なら女相手に古武術を使うなんて下種な真似はしないが、この場合は仕方なし。
相手が妙な帽子を被っていようとも、セーラー服を着た女子であろうと、武器を隠しているかもしれないマントをはためかせていて、武器だか杖だかわからん棒を持っていたて、うちの道場に勝手に入ってきたんなら、それはもう犯罪者だ。
「これはもしかして、戦闘態勢という奴ですか?」
「黙れ。 今すぐ警察に突き出してやる」
「あらあらあら、これはちょっと、予測していなかった展開ですね」
「安心しろ、女だから手加減してやる」
「・・・こうも人を信じないなんて、ひょっとして人間不信? いやですね、人を信じて裏切られましょうよ」
・・・絶対にこいつを警察に突き出そう。
*
「反則だっ!!」
「反則も何も、ルールなんてありませんよー」
箒にのって、天井辺りに漂っている女。
この際箒がどうとか、浮いてるとか、関係ない。
あの女、ふざけたことに俺が1歩踏み出した瞬間浮かび上がりやがった。
当然俺は飛べない。
よって攻撃も何も出来ない。
「願い事、決まりましたー?」
「降りて来いっ!!」
「それが願い事ですかー?」
これを願いにしたら、なんか負けのような気がする。
なんなんだよ、あの女は!
信じたくはないが、一応は魔女だと信じてやるとして。
この性格のひん曲がりはなんだ!
跡部部長より捻じ曲がってんじゃないか!?
忍足さんより捩れてないか?
鳳より底意地悪くないか?
「・・・もういい、わかった。 お前を魔女だと認めてやるから降りて来い」
「意外と物分り良いんですね。 よいしょっと」
ちくしょう、なんだこの敗北感。
「いやぁ、しかし粘りましたねぇ。 小1時間ですか、降りて来いと願ってくださればさっさと降りましたのに」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
「さて、願い事をお聞きしましょうか」
「疲れた」
「それは疲労回復を願う、とゆーことでOKですか?」
「かなり癪だが、この後部活もあるしそれでいい」
もういい、こいつ相手に何やっても無駄なような気がする。
とゆーか部活には間に合うのか?
ピピットープーリットープリターンペーペルト 体力よ、元通りになーれ
・・・なんか、まぁ、魔法ってこんなもんなのか。
魔方陣とか、生贄とか、そんなんじゃないのか。
そうか・・・。 (ちょっと残念オカルトマニア)
「これで体力は100%、ついでに部活にも間に合います」
「は?」
「貴方に好感が持てたので、ちょっとしたサービスです。 ちょろっと1時間ほど時間を巻き戻しておきました」
ちょっと、欠片、少し、微塵に、いい奴じゃないか。
「それでは、わたくしはこれで」
「ちょっと待った」
「はい?」
「名前、聞いておいてやる」
シャランラ。
言った瞬間に、あいつは消えた。
なんだよ、ムカつくな。
・・・?
あいつが消えた後に、ひらひら落ちてくる紙。
・・・・・・、くっ、本当にいい根性してるな。
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持出厳禁 門外不出 他言無用
日吉若 2007 11 24
