■いつでも元気ガムっ子と可哀想な寂しい頭と不運な体質
「魔女っ子参上、どうぞよしなに」
きゅぴーん☆
よし、オレは何も見なかったし、何も聞かなかった。
もちろんお前もそうだよな、ブン太。
「あんた、馬鹿だろぃ」
ブン太ー!!
こういう怪しいものは無視するって相場が決まってんだろ!
サワラヌカミニタタリナシ って奴だ! (良いこと言うな、日本の諺は)
それに初対面の人に何つー口の聞き方を!
例え魔女っ子みたいなマントと帽子とセーラー服と杖でも、初対面の人にそれは失礼だ!
「魔女っ子です、貴方方の願いを叶えるためにやってきました」
いや、微妙に決めポーズしながら言われても・・・。
なぁブン太、もちろんお前はこんな見るからにヤバそうな女子とは係わり合いになりたくないよな。 な?
それにオレは早く家に帰って今日の晩飯をだな・・・。
「それってマジかよ! よかったな、ジャッカル! これでお前のハゲも治るぜぃ!」
ブン太ー!!!
お、オレのこの髪型はスキンヘッドであって、毎日剃ってるんであって、ハゲじゃねーって何度も言ってんだろー!!
つーかこんな怪しい女子のことを信じるなよ!
いや、確かに人を信じるっつーことは美徳だけどな・・・。
でも今はそんな場合じゃないだろ!!
「では、1つ目の願い事はそれで決まりですか?」
「おぅ!」
いやいやいや、オレのツッコミ総無視かよ!? (確かに心の中でしか言ってねぇが)
ブン太もんな事信じんなっつーの!
ムーンプリズムパワー メイクアップ
しかもそれ、セーラームーンじゃねぇかよ!
知ってるぞ、ブラジルでも放映されてて弟が見てたよ!!
って、なんだ、頭に違和感が・・・。
「ぎゃはははは! 似合ってるぜ、ジャッカル!!」
あぁ、そうか。
そうなのか。
この際、本当に魔女っ子だったんだー、すげーやマジで髪の毛が生えてきたぜ、ブン太は楽しそうに笑ってるなー、とか全部全部無視して言わせて貰おう。
オレはやっぱりヤラれキャラか!
そうなのか!!
あぁ、いいさいいさ、うすうす自分でも気づいてたさ!!
オレはちっとも悪くない、むしろ尻拭いさせられてるほうなのにいつもいつもやたらと真田の鉄拳を受けたり、オレ貧乏なのに何かとパシられたり、荷物持ちさせられたり。
あぁぁあぁぁぁ、オレってば究極に可哀想じゃね!?
「魔女っ子さんよ」
「はい」
「オレを幸せにしてくれ」
「それが望みというならば」
もうツッコミつかれたぜ。
ブン太もわりかしツッコミ派だと思ってたんだがな。 (そうか、オレと一緒にいるといつでも誰でもボケに回るのか。 つーか強制的にオレがツッコミなのか)
ブン太も魔女っ子とか魔法とか全然気にしてねぇし、魔女っ子は魔女っ子でなんかもう全部を流しちまってるし。
勘弁してくれ。
あーした天気になーぁれ
「・・・それって魔法か?」
「まぁ、気分次第でどうにでもなるってことです。 ちょっとした気休めですよ。 でも、少しは良い事あると思います」
思いっくそ気休めじゃねーか!!
もっとこう、なんかあんだろ! 今日1日ハッピーな気分っつーかハッピーになったり! 自販機でなんか買ったらお釣りのところに100円忘れられてたり! 卵を割ったら双子だったり! そんなちょっと良い事あってもいいだろー!!
「そんな悲壮な顔をせずとも、一応はわたくしの魔法を使ってますから良い事ありますよ」
「そうだぜぃ! もっと幸せそうな顔しろよ、せっかく髪の毛も生えたんだしな!!」
ハハ・・・。
満面の笑顔で言われると、もう何も言い返せないよな。
どうせオレは損な役回りさ、こんな役さ、みんなの不幸を一身に背負ったような幸薄野郎さ。
「「 そのうち良い事あるって 」」
お前ら、いつの間にそんなに仲良くなったんだ?
つーかオレの髪型どうなってんだよ。
ブン太が爆笑してて、オレが途方にくれている間、いつの間にか魔女っ子は消えてた。
そういえば きゅぴーん☆ って音がもっかいしたような、しなかったような。
まぁいい。 オレはさっさと家に帰って飯でも作るか。
もちろん、家に帰った後鏡を見てオレが絶叫したのは言うまでもない。
そして、翌日はいつもどおりきっちり髪を剃っていって、ブン太に文句を言われたのもこれ、言うまでもない。
「ちょ、せっかく俺が魔女っ子に髪の毛生やしてもらったのに、何ソッコーでハゲてんだよ!」
「うっせー!!」
丸井ブン太 ジャッカル桑原 2007 06 15
