■紳士です

「魔女っ子参上、どうぞよしなに」


ぴきゅりーん☆


「っとっと、あいてっ」


どこかのお嬢さんが電柱の隙間から奇怪な効果音とともに出てきたと思うと、転んでしまわれました。
ここは紳士たるもの、手を差し伸べ起こして差し上げるべきですね。


「大丈夫ですか?」

「すみません、ありがとうございます」

「いえ、紳士たるもの当然の対応です」


私はお嬢さんの衣服についた砂埃をはらって差し上げました。
黒いマントですから、白い砂埃は目立ちますからね。
おや、変わった帽子を被ってらっしゃいますね。 個性があっていいと思いますよ。


「ふぅ、助けていただき有難うございました。 だから、というわけでもないんですけど、お礼に願いを1つ叶えて差し上げます」


律儀なお嬢さんですね。 仁王君にも見習って欲しいほどです。
ですが私は紳士たるもの当然のことをしたまでですので、御礼には及びません。


「そのお気持ちだけで十分ですよ」

「いえ、そういうわけにもいきません。 一応受けた恩はしっかり返すのが規則ですし、わたくしもぜひお礼がしたいのです。 それにこれも試験の一環ですし」

「試験?」

「ですから、どうぞ願い事を。 わたくしがどんな願いも叶えて見せます」


あぁ、なんて素晴らしい思考をお持ちのお嬢さんなのでしょう。
ここまで言ってくださるのですから、断るのも無碍というもの。
紳士らしい願い事をして見せましょう!


「お恥ずかしながら、実は今日ハンカチにアイロンをかけ忘れてしまいまして」

「はぁ・・・」

「やはり紳士たるもののハンカチは糊がきいてパリッと、アイロンがかけてあってピシッとしていませんと!

「・・・まぁいいですけど」


マジョリカ ホイ


「これでハンカチはパリッでピシッですよ」

「ややっ! これはこれは、どうもありがとうございます」


素晴らしい!
トレビアーン!


「それでは失礼いたします」


ぴきゅりーん☆


お嬢さんは上品な音と共に消えてしまわれました。
ふふ、今日は何かいいことが起こりそうですね。
いや、もう起こったというべきでしょうか。
紳士たるもの、今日も恙無く過ごすことにしましょう。
柳生比呂士   紳士、紳士、とてもうざい柳生になりました。   2007 08 30   
魔女っ子の魔法に満足したよ(ワンドリランキング)

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