■へいらっしゃい、すし屋の2代目

「いらっしゃーい」


がらり。

入ってきたのは、今の時間にはちょっと珍しい女のお客さんだね。 1人か。
カウンターに座って、セルフサービスのお茶を入れて、メニューを見て。


「なんにします?」

「そうですね、今日は何がお勧めですか?」

「あぁ、今の時期だと脂ののった秋刀魚とか、今日は黒鯛のいいのが入ってますよ」

「ではそれと、赤出汁、イクラ、穴子を」

「はい、ただいま」


さて、河村すし2代目の本領発揮。
美味しい、って食べてくれたら嬉しいな。



*



「凡百な表現ですが、とても美味しいです」

「ありがとうございます」


やっぱり料理人としては、こうやって料理の感想言ってくれるのが1番嬉しいな。
自分の作った料理で相手が喜んでくれるってのは、料理人冥利に尽きるよ。
良い人だなぁ。
そう言えば歳も近そうだし、セーラー服って事は近くの学校の人なのかな?
うーん、やっぱりそういうのってお客さんの私生活に関わる事だし、聞いちゃいけないんだけど気になるし。
はは、こんな事考えるなんて、まだまだ未熟だなぁ。
お客さんはお客さん、でも、仲良くなりたいってのも本音。


「ごちそうさまでした」

「あ、あぁ、お粗末さまでした」


がらり。

お勘定して、お客さんは また機会があれば って出て行った。
・・・また、来てくれるのかな。 だったら嬉しいな。


「きっと、また会えますよ」

河村隆志    たまにはこんな出会いも   2006 10 13   
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